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「ナッシュ」って何?~注意が必要な非飲酒者の脂肪肝~

掲載月:2004/07

ひょうご経済戦略2004年7月号


財団法人兵庫県健康財団保健検診センター所長
日本肝臓学会認定肝臓専門医伊藤一夫

 

 もし、今あなたが「肝臓が悪い」と言われたら、その原因は何だと思われますか?


 職場の定期健康診断では、14.9%の方が肝機能に所見有りといわれています。(平成14年兵庫県)肝臓が悪いというと、それはすぐ酒の飲みすぎやで、と言われた時もありました。その後、肝臓に障害を及ぼす各種肝炎ウィルスが次々と発見され、これまでアルコールによると思われていたアルコール依存症に伴う肝障害にも、肝炎ウィルスの関与が大きいことがわかってきました。肝臓病の主役としてウィルスにスポットライトが当たるようになりました。

 

 しかし、最近、ウィルスにかかっておらず、お酒を飲まない方の肝臓病も、実は重要な病気であることがわかってきました。それが「非アルコール性脂肪性肝炎(NASH=ナッシュ)」なのです。

 

 肝臓での脂肪の処理がうまくいかず、肝臓に脂肪が5%以上たまると脂肪肝と診断されます。その原因としては、飲酒、肥満、糖尿病等があげられます。そして、飲酒による脂肪肝は進行して、肝炎、肝線維症を経て、肝硬変や肝癌になることがあるのはよく知られていました。一方、お酒を飲まない人の脂肪肝は、非進行性で悪化しないと考えられてきました。

 しかし、お酒を飲まない方の脂肪肝の中にも、肝炎や肝硬変へと進展し、肝不全で死亡したり、一部は肝癌になるものがあることがわかってきたのです。それがナッシュです。

 

 ナッシュは、実は1980年に報告されていたのですが、「ほんまは隠れてお酒飲んでるせいとちゃうん?」とあまり重視されていませんでした。しかし、1998年頃から、その重要性が、認識されてきました。アメリカでは、成人の3~5%がナッシュにかかっているといわれ、日本でも、80万人の方がナッシュと推定されています。好発年齢は40~60才代ですが、小児の報告もあります。女性に多いという報告もありますが、男女同数との報告もあります。

 

 自覚症状としては、特別のものはありません。背景としては、ふつうの脂肪肝と同じく、肥満の方が多く、4分の3以上を占めています。また、日本人には、倹約遺伝子といって、基礎代謝量が少なくてすみ、飢餓に対する抵抗性の高い遺伝子を持った方、逆に言うと、飽食の時代には太りやすい方が3割おられます。この方々も、ナッシュにかかりやすい方です。そして、肥満や糖尿病、高脂血症等に伴う脂肪肝の方に、もう一つの要因(セカンドヒット)として、活性酸素のストレス等が加わると、ナッシュになるといわれています。

 

 検査法としては、通常、脂肪肝の検査としては、血液検査や超音波等の画像診断があり、血液検査で異常のない脂肪肝もあります。ナッシュとふつうの脂肪肝とは、これらの検査では区別することができず、肝生検といって、肝臓に針をさして、組織の一部を取ってきて、顕微鏡で調べる方法しかありません。ただこの検査を多数の人に行うわけにはいきませんので、生活習慣改善を行っても良くならない方を対象にしてはどうかともいわれています。

 

 治療法としては、食生活の改善と適度な運動ですが、極端な減量は、かえって悪化の引き金となりますので、定期的に検査を受けながら、徐々に体重を落として下さい。

 

 最後に、定期健診等で、肝臓が悪いといわれた方は、一度はB型とC型の肝炎ウィルスの検査(血液検査)を受けられ、ウィルスに感染していなければ、お酒を飲まれる方はお酒の、太っておられる方は体重の、コントロールを心がけてください。脂肪肝がないかどうかの超音波の検査もお受け下さい。

 

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