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肉の生焼けにご注意を ~E型肝炎がわかってきました~

掲載月:2005/03

ひょうご経済戦略 2005年3月号


財団法人 兵庫県健康財団 保健検診センター所長
日本肝臓学会認定肝臓専門医 伊藤 一夫

 

豚レバーを食べて肝炎に
 昨年夏、北海道で豚レバーと豚ホルモンを食べた6人がE型肝炎ウィルスに集団感染し、うち1人が劇症肝炎を発症し、死亡しました。2003年には、兵庫県でも冷凍生シカ肉を食べた6人中4人がE型肝炎を発症しました。北海道では、市販の豚レバーからE型肝炎ウィルスの遺伝子が検出されました。このほか輸血によるE型肝炎感染も明らかになってきています。

 

肝臓学会では
 昨年秋の日本肝臓学会では、パネルディスカッション「わが国におけるE型肝炎の実態」が開かれ、11題の報告がありました。2001年以後E型肝炎の演題が増加してきています。E型肝炎は、1999年頃までは、糞便中に排出されたウィルスが、主に水を介して経口的に感染し急性肝炎を発症する病気で、発展途上国にのみ常在し、日本には常在せず、「輸入感染症」として国内に持ち込まれないように監視する必要がある、とされていました。

 

 しかし、最近、「国内発症例」が散見されるようになり、日本にも「土着株」があり、さらに豚や野生動物からもウィルスが検出され、「人獣共通感染症」であることが明らかになってきました。


 2003年の岩手医大からの報告では、1999年の一般住民検診受診者について、E型肝炎ウィルス抗体(過去に感染した証拠)を調べたところ、陽性率は男22%女7%で、年齢別にみると30歳代10%から加齢とともに上昇し、70歳代では31%だったとのことです。

 

 2004年、信州大からの報告では、抗体陽性率は1974年に採血された血液では男22%女11%、1984年の血液では男11%女11%、1994年の血液では男10%女12%でした。年齢的には40歳でピークに達し、50歳代以降軽度低下していました。


 これらのことから、E型肝炎ウィルスは昔から日本に存在し、日常生活の中で感染し、加齢とともに抗体陽性率が高くなっているものと思われます。そして、その多くは感染はするが発症しない「不顕性感染」で、一部の方のみ急性肝炎を発症していたと思われます。

 

E型肝炎とは?
 E型肝炎は、同じく経口感染するA型肝炎とよく似た病気で、(A型肝炎の抗体保有率は50歳代以降で80%を超えます)臨床的には区別できません。1980年頃インドでその存在が示唆され、1989年ウィルスの構造が解明されましたが、検査法はまだ一般化されておらず、研究室レベルの検査にとどまっており、研究が遅れていました。

 

 E型肝炎は、潜伏期間が15~60日(平均40日)で、慢性化することはありません。一部(1~2%)は劇症肝炎となり死亡することもあります。A型肝炎では死亡率は0.1%~0.2%です。


 E型肝炎の症状は、発熱・全身倦怠感・黄疸等で、かぜかなと思っていると、目が黄色くなってくるということもあります。治療法は安静と対症療法のみです。通常1~2ヶ月で治ります。

 

予防のために
 予防法としてはウィルスを口から入れないことです。豚肉、特にレバーを生で食べることは危険です。また、シカやイノシシ、めん羊や山羊からもウィルスが検出されています。しかし、通常の加熱調理をすれば、ウィルスは感染力を失いますので安全です。ハム・ソーセージ等の加熱済み食品も安全です。焼肉を食べる時に、他人にとられないようにと、生焼けで食べないようにして下さい。

 

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