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長時間労働と職場のメンタルヘルスケア対策

掲載月:2006/07

ひょうご経済戦略 2006年7月号


財団法人兵庫県健康財団保健検診センター所長        
労働衛生コンサルタント 日本医師会認定産業医 伊藤一夫   

   
 
 労働安全衛生法が改正され、平成18年4月1日より施行されました。これまで、通達に基づいて指導されていた長時間労働者に対する産業医等の面接指導が、法律で規定されました。

 

 事業者は、週40時間を越える労働が1月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められるときは、労働者の申し出を受けて、医師による面接指導を行わなければならなくなりました。また1月当たり80時間を越える労働者や、事業場で独自に定めた基準に該当する労働者についても、面接指導、又はそれに準ずる措置を講じるよう努めなければならなくなりました。

 

 平成18年3月30日、面接指導のためのチェックリストとマニュアルが発表されました。面接指導の目的は、長時間の過重労働による脳血管疾患や虚血性心疾患等を必ずしも予知するものではなく、そのリスクを予防的に低減させるものとされ、メンタルヘルス面にも留意するとなっています。

 

 面接指導の手順としては、まず、労働者本人に自己チェックをしてもらいます。これは平成15年4月発表の「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」(発表時、ホームページにアクセスが殺到して話題になりました)に、「業務の過重性・ストレス」と「うつ病等の一次スクリーニング」の項目が追加されたものです。「うつ病の一次スクリーニング」は下記の5項目です。

 

● 毎日の生活に充実感がない
● これまで楽しんでやれていたことが、楽しめなくなった
● 以前は楽にできていたことが、今ではおっくうに感じられる
● 自分が役に立つ人間だと思えない
● わけもなく疲れたような感じがする

 

 2項目以上当てはまる場合、医師面接でうつ病の評価を行います。長時間労働はメンタルヘルスにも大きな影響を与えます。時々自分でもチェックしてみてください。

 

 また、平成18年3月31日、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」も出されました。その中で、以下の「4つのケア」を効果的に推進し、職場環境の改善、メンタルヘルス不調への対応等を行うとされています。

 

(1) セルフケア(労働者によるストレスへの気付きと対処、自発的な相談等)
(2) ラインによるケア(管理監督職による職場環境等の改善、個別の相談対応等)
(3) 事業場内産業保健スタッフ等によるケア
(4) 事業場外資源によるケア

 

 メンタルヘルス対策としては、まず気付くことが大切です。自分自身が気付く変化としては、上記の項目や、悩みや心配事が頭から離れない、不眠や眠りが浅い、朝起きて会社へ行きたくない、新聞も読めない、等があります。周囲が気付く変化も、表情が暗くなり元気がない、仕事の能率低下、ミスの増加等いろいろあります。メンタルヘルス不調が、身体の症状(胃痛、腰痛、頭痛、めまい等)として出現することもよくあります。

 

 特に、まじめな方ほど、メンタルヘルス不調になりやすいものです。仕事をかかえこまないでください。自分でチェックして「おかしいな」と思ったら、だれかに相談してください。

 

 相談された方はアドバイスするのではなくて、共感して聞いてあげてください。「そうだね」と相づちを打ってあげてください。うなづいてあげてください。

 

 6月1日の新聞は17年度の精神障害による労災認定が127人、うち自殺が42人と伝えています。申請が大幅に増えて審査が遅れています。

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