健康コラム

HOME > 健康情報 > 健康コラム > 健康コラム詳細

お知らせ詳細
コラム一覧へもどる

バターとマーガリン 体に良いのは?

掲載月:2007/03

ひょうご経済戦略 2007年3月号


財団法人兵庫県健康財団 保健検診センター所長 伊藤一夫

 

 バターよりマーガリンの方が体に良いと思っておられる方も多いのではないでしょうか。動物性脂肪のバターはコレステロールを上昇させ、動脈硬化の進行、心臓病の増加につながる。一方、大豆や菜種、トウモロコシ等植物性の油から作られるマーガリンは、コレステロールを下げて心臓病を予防するから体に良いんだ、と思われてきました。1985年の「健康づくりのための食生活指針」では「動物性の脂肪より植物性の油を多めに」となっていました。

 

 ところが、液体の油を固めて固体のマーガリンを作る際にできる「トランス脂肪酸」が実はコレステロールを増加させ、心臓病を増やすということがわかってきました。このトランス脂肪酸は、同様の作り方をする一部の調理用油脂にも含まれています。

 

 そこで、アメリカでは2006年1月、加工食品中のトランス脂肪酸の量を表示することが義務化されました。12月にはニューヨーク市では市内のレストランやファーストフード店でのトランス脂肪酸使用が原則禁止されました。

 

 日本では、1999年「第6次改訂日本人の栄養所要量」において「トランス脂肪酸の摂取量が増えると動脈硬化症の危険性が増加する」とされていましたが、2004年内閣府食品安全委員会は「諸外国と比較して日本人のトランス脂肪酸の摂取量が少ない食生活からみて、健康への影響は小さい」と報告しています。

 

 この報告によりますと、日本人の1日あたりのトランス脂肪酸の摂取量は1.56g、摂取総エネルギーに占める割合は0.7%となっています。一方、アメリカでは5.8g、2.6%です。国際脂肪酸・脂質学会は1日摂取量を2g未満にするように勧告し、WHO(世界保健機関)/FAO(国連食糧農業機関)は摂取総エネルギーの1%未満とするよう勧告しています。

 

 ちなみに雪印乳業株式会社によりますと、食パン1枚に塗るマーガリンの量は8~10g程度で同社のマーガリン類10g中のトランス脂肪酸の量は0.1~0.5gと言っています。日本生協連はCO-OPマーガリン類のトランス脂肪酸含有量は4.0~11.4%としています。

 

 このように体に良いと思われていたものが、いつのまにか体に悪いとなっていた、こんなことは他にもあります。うま味調味料のグルタミン酸ナトリウム(以前は化学調味料と呼ばれていましたが、今は発酵法で作られています)は脳内の神経伝達物質であることから粉ミルクの中に入れられ、「頭の良い子に育てよう」というコマーシャルも流されました。

 

 しかし、その後アメリカで中華料理を食べすぎた後、気分が悪くなるチャイニーズレストランシンドロームの原因ではないかと疑われたり、大量投与で動物の脳に異常が生じるといった実験結果が発表されたりしました。その後の研究で日本での通常の使用量では健康には全く問題なく、但し頭が良くなるわけでもなく、単なる調味料というところに落ち着きました。

 

 また植物油のリノール酸もコレステロールを下げて心臓病予防といわれ、リノール酸リッチなサラダ油がもてはやされた時代がありましたが、その後かえって心臓病を増やすという発表がなされたり、過剰摂取の弊害が報告されるようになり、今ではオレイン酸リッチなサラダ油の時代になっています。

 

 ある特定の食品に過度に期待しすぎると裏切られることもあります。単一の食品に頼るのではなく、いろんな食品をバランスよく食べることが大切です。

 

 バターとマーガリン、私の答えは「お好きなものを適量、楽しんで食べてください。」です。但し、健康診断のコレステロールのチェックは忘れずに。

コラム一覧へこのページのTOPへ
※本コンテンツの無断転載を禁止します。