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脳ドック

掲載月:2007/11

ひょうご経済戦略2007年11月号


財団法人兵庫県健康財団保健検診センター副所長 杉村 千惠

 

 40、50歳代の方から「最近、物忘れが多いので脳ドックを受けた方がいいだろうか」というご質問をよく受けます。

 

 ほとんどの方は人の名前がすぐに思い出せない、ものの名前が出てこないで、あれが、それが、ということが多くなったから、とおっしゃいます。

 

 元気な中高年にとって、ある意味で痴呆や寝たきりが一番怖い病気となっているのかもしれません。しかし、皆さん本心では「自分は大丈夫」と安心して気軽に受けていらっしゃいます。

 

 肺がん検診で肺がんが、胃がん検診で胃がんが発見されることはわかりますが、では脳ドックでは何が発見されるのでしょうか。

 

 脳ドックの目的は『脳ドックのガイドライン2003』では「無症候の人を対象MRI、MRAによる画像検査を主検査とする一連の検査により、無症候あるいは未発症の脳及び脳血管疾患あるいはその危険因子を発見し、それらの発症あるいは進行を防止することを目的とする」と書かれています。

 

 具体的には大きく分けて二つの目的があります。一つは脳動脈瘤の発見、もう一つは無症候性脳梗塞の発見です。

 

 くも膜下出血は治療技術が進歩した現在でも、救急疾患の中で生命予後の悪い疾患で、そのくも膜下出血の原因となるのが脳動脈瘤破裂です。破裂したら助からない動脈瘤を事前に見つけて対処しようというのが目的です。

 

 しかし、肺がんや胃がんなどに比べて、未破裂の脳動脈瘤に対する治療の適応、方法などにはまだまだ異論があります。それは脳動脈瘤の自然史が十分にわかっていないこと、対象が頭蓋内であるため、治療の危険性が高いことなどが関係しています。

 

 脳ドックでは数%に見つかるといわれている脳動脈瘤ですが、もし発見されたら専門医で治療した場合、しない場合の説明を受け、納得をして治療あるいは経過観察されることをおすすめします。

 

 無症候性脳梗塞は脳ドックで最もよく見つかる病変です。ドックで偶然見つかる梗塞ですので症状が出たり、すぐに脳梗塞としての治療の対象となることはまれですが、将来、脳梗塞を起こしやすい状態にあるといえます。今までと同じ生活を続けていれば、脳梗塞になる可能性がありますよ、という警鐘と考えられます。

 

 動脈硬化をすすめる危険因子である高血圧、糖尿病、高脂血症などがあれば、生活習慣を見直し、食事、運動に気をつけ、それでも改善されないときには薬物治療などを行うことが大切です。

 

 今年の敬老の日に発表された100歳以上人口は男性4,613人、女性27,682人でした。統計を取り始めた昭和46年の153人から36年連続で過去最高を更新しています。

 

 また80歳以上人口は713万人で、初めて700万人を超えました。長寿大国日本です。

 

 しかし、良いことばかりではありません。80-84歳では男性の21.1%、女性26.3%が介護の必要な生活を送っていらっしゃいます。

 

 介護が必要な原因は色々ですが、男性では40%以上の方が、脳血管疾患が原因となっています。男性にとって脳血管疾患―脳梗塞や脳出血は将来の元気さを左右する最も大きな要因なのです。

 

 『脳ドックのガイドライン2003』で推奨されている頭部についての検査はMRI、MRAです。

 

 MRIとはMRimagingの略で磁気共鳴装置を使って脳の断面をみる検査で、CT検査に比べて放射線被曝がない、簡単に多方向から検査できる、脳実質の細かい変化がわかりやすい等の利点があります。

 

 MRAはMRangioの略で磁気共鳴装置を使って造影剤を使わずに血管をみる検査です。脳内、頸部の血管を検査します。実際の検査は10分から20分くらいで、機械の中で仰向けに寝ているだけで済みます。

 

 ペースメーカーや金属を埋め込む手術を受けた方、人工内耳の方などはMR検査を受けられません。検査の予約をされるときによく確認してください。

 

  発見されてからあわてないように脳ドックで分かることをよく理解し、十分納得して検査を受けましょう。

 

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