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水中運動

掲載月:2010/07

 <水中運動>

 

(財)兵庫県健康財団 健康指導部 健康運動指導専門員 山口一仁


 夏の時期は気温、湿度ともに高く、じっとしていても汗ばみ、外出や運動が億劫になります。


 健康づくりに取り組んでいる皆さんは、この季節においては快適に健康づくり運動を実践するため、朝夕の涼しい時間帯への変更や、暑い期間中は休止するなどの暑さ対策を工夫されていると思います。すでに健康づくり運動の手段として取り組まれている方もおられると思いますが、このような季節には快適に実践できる運動として水中運動がお勧めです。


 水中運動の効果は、・泳げない人でも無理なく運動不足が解消できる。・心肺機能の維持向上、改善が期待できる。・自己の筋力に応じたトレーニングができる。・バランス機能の維持向上、改善が期待できる。・リハビリやリラクセーション効果がある等々、様々な形態の運動が可能になります。


 今回は、水中運動の媒体である水の特性について話を進めたいと思います。水には浮力、水圧、水抵抗、水温という4つの特性があり、それぞれが相互に作用しながら水中でのさまざまな運動をより安全に効果的にしています。

 

<浮 力> 

 

furyoku.jpg水中の物体は、周囲から圧力(水圧)を受けています。その圧力は下側が大きく、圧力の合力は鉛直上方に働きます。この合力を浮力といい、その作用点を浮心といいます(図1)。

  

  浮力についてはアルキメデスの原理(浮力の大きさは、物体の押しのけた水の重さに等しく、重力と反対方向に作用する。)で有名です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

水位と体重.JPG このことから、私たちが水中に立つと浮力が働き、図2のように肩部までの水深では体重の約10%、剣状突起部(バストライン)では約30%~40%、臍部(さいぶ:へその位置)では約50%~60%にまで軽減して関節にかかる負担が減少します(陸上でのウォーキング:体重の1~2倍の 負荷、ジョギング:体重の3~4倍の負荷)。


 そして、水中では体重の軽減によって重心が腹から背中へと移動して無重力に近い不安定な状態になりますのでからだを安定させようとしてバランス機能が向上します。


 また、水に浮くだけで筋肉の緊張が解かれて血行が促され、リラクセーションできストレス解消にも効果があります。

 

 

 


<水 圧> 

 水圧.JPG水圧は水深に比例し、10m深くなる毎に1気圧増加します。


 肩まで水中に沈むと水圧により空気中よりも肺の気圧が0.03~0.05減少して、水圧が増した分、自然に腹式呼吸になり呼吸筋を強化します。


 また、水圧は体表面に分布する静脈毛細血管を圧縮して下半身の筋肉末端から戻る静脈還流を促進し、心臓の負担を軽くします。(陸上よりも10から20拍/分少なくなる)(図3)

 

 

 

 

 

 

 

 

<水抵抗> 

 水抵抗.JPG

水の密度は空気の700倍~830倍、粘性抵抗は空気の10~40倍です。

 空気1㎥と水1,000分の1㎥とがほぼ同等の重さです。


 水中では三次元(上下、前後、左右)に抵抗が働きその抵抗は水中で動く物体の速度の2乗(動作は陸上の1/2~1/3のスピード)になり、陸上と同じ動作をしたときよりもエネルギーの消費が大きくなります。


 従って自分の出した力に相当する負荷を得ることができるので、筋肉を傷めず強化できます。(図4)

 

 

 

 

 

 

<水 温> 

 水温.JPG水中での熱伝導率は空気中の27倍です。水温は体温よりも低いため、体温を一定にする生理機能(恒常性:ホメオタシス)が働き、奪われた熱を回復すべく体内で熱産生を起こし、エネルギー消費が陸上よりも多くなります。


 また、運動によって上昇した体温を水が下げてくれるため、浮力と相互に働き長時間の運動が可能になります。(図5)

 以上のことから、関節(特に腰、下肢関節)に障害のある方、肥満の方には陸上の運動よりも適しています。また、陸上のように転倒の危険がないため、安全の面から高齢の方にも適しています。


 次回は、水中運動の基本となる水中歩行の方法や注意事項について説明します。

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