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水中歩行

掲載月:2010/08

<水中歩行>

 

(財)兵庫県健康財団 健康指導部 健康運動指導専門員 山口一仁


 今回は、水中運動の最も基本となる水中歩行について説明します。水中歩行は運動自体が単純で、特に指導者も必要としないため誰でも簡単に行うことができますが、間違った知識や方法で行うと重大な事故につながります。特に整形外科的障害や心臓・血管疾患、高血圧症等の方は専門医に相談のうえ指示に従って行ってください。


 水中運動は、浮力によって筋肉や関節にかかる負担が軽減されることにより、水抵抗(粘性抵抗)によるエネルギー消費量の増大と筋肉力アップ、水圧による心肺機能の向上、水温による体熱生産と新陳代謝の活性化等の効果があります。


 そして、転倒によるけがの危険性が少ないため運動不足の方や、特に下肢関節に障害のある方、肥満の方、高齢の方などにとっては安全で最適な運動です。

 

<方法> 
1 姿勢はやや前傾

水中歩行図1.JPG 陸上では体をまっすぐに立てるようにして歩きますが、水中では歩行時に抵抗が働くため上体が後方へ押し戻されようとし腰に負荷がかかります。


 このため抵抗に負けないよう腹筋を絞め、背筋をしっかり伸ばしてやや前傾を保って歩きます。(図1)


 水抵抗は水中で動く物体の速度の2乗になりますので、歩く速度に応じて前傾姿勢を調節してください。

 


 

 

 

 

2 腿(もも)を上げ、膝(ひざ)を中心にして足を振り出す
 水中では陸上での歩行のようにスムーズな歩行はできません。そのため、より効果的に動作を行うために後ろの脚の腿(もも)を胸近くへ引き上げ、膝(ひざ)を中心に足を前方へ振り出します。


 この動作を行うことにより、転倒予防に深く関連のある大腿四頭筋や大腰筋等の腹背筋、下肢の筋肉を効果的に鍛えることができます。(図2)


水中歩行図2.JPG 
3 足裏全面を使って水底をつかまえる
 陸上の歩行では踵(かかと)から着地しますが、水中では水底が滑りやすく、また浮力が働きからだは不安定な状態にあるため、踵からの着地は思わぬけがの原因になります。からだをしっかり安定させ歩行するためにも足裏全面を使って水底をしっかりつかまえ、親指の付け根に体重が乗るようにしてください。

 

<注意>
1 運動強度
 水中では水圧は体表面に分布する静脈毛細血管を圧縮して下半身の筋肉末端から戻る静脈還流を促進し心臓の負担を軽くします(陸上よりも10拍/分から20拍/分少なくなる)。このため、陸上での運動時目標心拍数よりも10拍/分から20拍/分程度低い運動強度をおすすめします。感覚的な運動強度は陸上と同じく「ややきつい」から「きつい」と感じる程度です。
また、大まかな運動量の目安は女性の場合10分間で300~350m、男性はこれより少し多めの運動量が必要とされています。水中歩行に慣れるに従い、徐々に運動時間や量を調節して安全に水中歩行をすすめてください。

 

2 準備運動・整理運動
 必ず準備運動、整理運動を実施してください。水中では抵抗があるため短時間でも非常に多くのエネルギーを使い運動強度が高くなります。安全、障害予防、疲労回復のためにも特に水中歩行に関係する筋肉を入念にストレッチしてください。

 

3 水分補給
 運動を開始すると、運動強度、水温(気温)、湿度に応じて体温が上昇し、体温調節のため体内の水分を使って発汗作用が起こります(水中では水という媒体がからだに接触しているため気づきにくくなっていますが発汗作用が働き発汗しています)。
水分補給をしないまま発汗が続くと血液の塩分濃度が高くなり、心臓の働きを阻害し非常に危険な状態に陥ります。


 このような状態に陥らないためにも、運動の約30~60分前にはコップ1杯程度(できれば300~500cc)の水分を摂取し、運動中はのどの渇きの有無に関わらず10数分~20分間隔程度で定期的に一口から二口程度の量(200cc程度の量を数回に分けた量)の水分を摂取しましょう。


 特にプールという特殊な環境では脱水症状や熱中症に気づきにくくなっています。これらの事故予防のためにも充分な水分補給が必要です。ただし、短時間で大量の水分を摂取すると体に変調をきたし事故の原因にもなりますので、定量・定期的な水分摂取を心がけましょう。

 

 陸上では難しい運動でも、水中では浮力や抵抗が働き比較的簡単に運動を行うことが可能になります。単に前へ歩行するばかりではなく、横歩きや後ろ歩きなどを組み合わせ多方向の動作を行うことでバランスの取れた運動を実施してください。また、ビート板など補助具を使うことにより様々な形態の水中歩行を行うことができます。ぜひ、プールサイドにいる指導者に相談し、安全で快適な水中運動・歩行を楽しんでください。

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