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コレステロール値、高い方が長生き?

掲載月:2010/11

ひょうご経済戦略 2010年11月号掲載

 

財団法人兵庫県健康財団
保健検診センター所長 伊藤 一夫

 

「血中のコレステロール値が高い方が長生きする。」先日、こんな報道がありました(2010年9年3日)。


 第19回日本脂質栄養学会の発表によりますと、延べ17万人の死亡率と総コレステロール値を検討した結果、総コレステロール値が160以上200未満の人と比べて、160未満の人の死亡率は男性が1.6倍、女性が1.4倍高く、200以上の人は、女性は差がありませんでしたが、男性では低い結果となりました。


 また、悪玉と呼ばれるLDLコレステロール値でも、原因別の死亡率について分析すると、心疾患では、値の高い男性が、低い男性に比べて死亡する率が2倍になったものの、心疾患以外では逆に値が高い方が死亡率も下がる結果となっています。女性は、心疾患でも死亡との関係は見られませんでした。


 これまで、コレステロール値は低い方が良いと思われていた方は、おやっと思われたのではないでしょうか。


 その前日(9月2日)のインターネットのサイトでは「LDLコレステロール値、脳卒中の危険因子とならない?」というテーマへの医師と医師以外の方の投票結果が発表されていました。医師の投票では、13%の人が危険因子とならない、60%の人が危険因子となる、27%の人がどちらとも言えないとなっていました。医師以外の投票では、それぞれ35%、41%、24%でした。多くの医師は、LDLコレステロール高値を脳卒中の危険因子と考えているようです。心疾患では、もっと多くの医師が危険因子と考えていると思われます。


 一部の報道では、あたかも医学界が二分されているかのようなものもありましたが、高いコレステロール値は下げる方が良い、というのは多数の研究結果により定着した考え方になっているようです。ただし、コレステロール値の低い方の中には、慢性肝炎や肝硬変等の肝臓病、各種のがんやその他の慢性疾患をお持ちの方があり、それらの病気のためにコレステロール値が低くなった方が含まれていて、その結果死亡率が高くなっていることが考えられます。つまり、コレステロール値が低いから死亡率が高いのではなく、ほかの病気のためにコレステロール値が下がり、死亡率が上がっている方々が含まれていると考えられるのです。その結果、見かけ上、コレステロール値が低いほど、死亡率が高いとなっている可能性を否定できません。コレステロール値の低い方は、何か病気がないか調べたほうが良いのかもしれません。


 ただ、医学、医療は年々進歩と言うか、変化しています。以前、「バターとマーガリン、体に良いのは?」(当誌2007年3月号)でも書きましたように、動物性脂肪より植物性脂肪の方が体に良いと思われていたのが、植物性脂肪を固めてマーガリンを作る際に、トランス脂肪酸ができ、これは体に悪いとされ、アメリカでは規制されるようになってきています(健康財団のホームページに掲載)。


 ある時正しいと思われたことが、ずっと正しいとは限りません。また、いろいろな考え方や意見があるということを知っておくことも必要です。


 最近、コレステロール値が高いのにコレステロール値を下げる薬を飲まないと言われる患者さんが増えているという話も聞かれます。


 マスコミやインターネットの報道に接する際には、一部の説のみにとらわれるのではなく、広くたくさんの情報を集め、その中から本当の情報をつかみ取っていくことが求められています。


 

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