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大腸がん検診について

掲載月:2012/08

JUMP 8月号掲載

兵庫県健康財団 保健検診センター所長 熊谷仁人

 

1.はじめに

 近年大腸がんが増加傾向にあるといわれています。「胃がんは国民病みたいなもので、昔から多いのは分かる。最近肺がんや女性の乳がんが増えてきているのも聞いたことがある。でも大腸がんなんてあまり聞いたことがない・・・」と思われる方も多いのではないでしょうか。

そうなのです。大腸がんは増えています。そんなわけで、今回は大腸がん検診の話を(ちなみに「大腸」はいくつかの部分の名称に分かれているため、ここでは「結腸」「直腸」を合わせたものを大腸とします)。

 

2.大腸がんの死亡率

まずはグラフを見てください(1)。部位別悪性新生物による死亡率の年次推移です。男性では肺がんがトップです。胃がんは最近横ばいで、大腸がんが増えているのが分かります。肝臓がんは増加傾向にありましたが、近年横ばいです(図1)。女性では、大腸がんがトップです。そして肺がん、胃がん、乳がんの順です。やはり大腸がんが増えていたのです(図2)。

 

3.大腸がんの5年生存率

治療後、ある一定の期間転移も再発もなければ治癒したものと考えてよい指標として5年生存率があります。上皮内がん、粘膜がんを除いた大腸がんでは「限局」(原発臓器に限局)94.8%、「領域」(所属リンパ節転移または隣接臓器に浸潤)63.4%、「遠隔」(遠隔臓器、遠隔リンパ節などに転移・浸潤)11.0%となっていて(2)、がんが限局していることすなわち早期発見が治癒のために重要です。また発見時の早期がんの割合は検診では60%ですが、症状を訴えて病院で見つかったものでは21(3)であり、症状のないときに検診で見つけることが大切です。進行がんよりも早期がんのほうが身体への影響が小さくて済む治療であるのは他のがんと同じです。

 

4.大腸がん検診の種類

現在大腸がん検診は便潜血検査(2回)で行います。それで陽性のとき、大腸内視鏡検査を行うことになります。問題は、1)検診の受診率が低いこと、2)検診で陽性の結果が出ても精密検査を受けないこと、3)検診で陽性の場合医療機関で再度便潜血検査を受けようとすることです。

他のがん検診同様検診受診率は低く、30%に達していないものがほとんどです。検診を受けない理由に「何かあったら病院を受診するから」というのがあります(4)が、前述のように、そのときは80%近くが進行がんになっているのです。2)の精密検査を受けないことは論外です。3)の再度便潜血を行って、もし陰性であっても最初の陽性を無視しても良いことにはなりません。病変からの出血が時々ある場合もチェックするため2回の検査を行っているので、3回目4回目が陰性でも出血の疑いは消えません。

 

5.おわりに

近年大腸がんが増えています。症状が出て病院を受診してもその多くが進行がんになっています。早期がんの状態で発見するために検診を受けることが重要な第一歩なのです。

 

 

グラフ.JPG

 

 

 

参考文献

(1)厚生統計協会「国民衛生の動向2011/12

(2)国立がん研究センターがん対策情報センター「全国がん罹患モニタリング集計2000-2002年生存率報告」

(3)厚生労働省「大腸がん集団検診の組織化に関する研究」

(4)内閣府「がん対策に関する世論調査」2009

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