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胃がん検診の見直しの問題点

掲載月:2016/02

            JUMP 2月号掲載

保健検診センター所長 熊谷 仁人



1. はじめに


 みなさん、がん検診をちゃんと受けていますか。「元気だから必要ない」とか「調子が悪くなったら病院に行くからいい」なんて思ってはいませんか。

 転ばぬ先の杖、症状のないときに発見すると、早期がんの可能性が高いため治療の負担も軽く予後も良好な場合が多いと考えられます。

 平成27年9月「がん検診のあり方に関する検討会」の中間報告が出ました。胃がん検診が見直されようとしています。



2. 「がん検診のあり方に関する中間報告」の胃がん検診に関する提言内容

   (現在は40歳以上、胃部エックス線検査を逐年実施)


 ① 対象年齢が50歳以上に(当分の間40歳代に胃部エックス線検査の実施は可)。

 ② 毎年実施から2年に1回実施に(当分の間胃部エックス線に関して逐年実施も可)。

 ③ 検診項目が胃部エックス線検査または胃内視鏡検査に。

   (胃の萎縮度をみる)ペプシノーゲン検査とピロリ菌の存在をみる胃がんリスクの層別化による検診は今後引き続き検証

     が必要。



3. 提言の根拠


 高齢化を考慮した胃がんの年齢調整死亡率、罹患率は年々減少傾向にあります。特に40歳代では検診導入時(昭和55年)に比べて死亡率は約5分の1、罹患率は約2分の1になっていることから①が提案されました。

 ②の隔年実施の根拠として、1~3年以内に受診した人の死亡率が、全く受診しなかった人より約60%減少していること、隔年実施にした乳がん、子宮がん検診では受診率が低下しなかったことが示されました。③の胃内視鏡検査は死亡率を下げる有効性について最近認められたことから検診項目に追加されました。胃がんリスクの層別化は、死亡率の減少効果を示すエビデンスが不十分ながら、今後医師の確保等、検診の供給体制が不十分な地域においても効率的な検診の実施が期待されることから、引き続き検証が必要とされました。



4. 提言の問題点


 胃がんはもともと日本人に多く、近年減少傾向にあるとはいえ、年間13万人以上が罹患し、4.8万人が死亡します(悪性腫瘍の中で罹患は第1位、死亡は第2位)。胃がん死亡率の減少の理由として、診断、治療等に関する医療技術の進歩が挙げられますが、なかでも検診による早期発見の寄与は無視できないと考えます。

 減少したとはいえ40歳代での発見が少なからずあることや、胃がんの進行速度などを考えると隔年実施等の見直しにより進行がんでの発見が増える危険性を危惧します。しかもその結果は5年、10年たってみないとわからないことから長期的な観察が必要でしょう。


 

5. おわりに


 今後変わりそうな胃がん検診について述べました。しかし結局のところ、どんなに良い検診でも受けなければ意味はありません。早期がんを発見することで身体にも影響の少ない治療が可能になっています。原点にもどり、まずはがん検診を受けましょう。



(参考資料)

1.  がん検診のあり方に関する検討会中間報告「乳がん検診及び胃がん検診の検診項目等について」平成27年9月

2.  国民衛生の動向2014/2015、2015/2016 

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