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肥満症治療から見た生活習慣改善について

掲載月:2016/08

            JUMP 8月号掲載

保健検診センター所長 熊谷 仁人



1. はじめに


 肥満と生活習慣病には密接な関係があり、内臓脂肪蓄積型肥満をベースとしたメタボリックシンドロームの概念もすっかり定着した感があります。往々にしてわかりやすい目標として体重や腹囲の減少が取り上げられがちです。しかし体重減少が生活習慣の改善を正しく反映しているかどうかは難しいと思います。とにかく体重が減ったらそれでよし、としていませんか?

 今回は肥満症の治療から生活習慣改善のポイントを見てみました。



2. 肥満症の治療から確認されたこと


 臨床研究から以下のようなことがわかっています。


 ①治療脱落率が高い。

 ②リバウンド率が高い。

 ③食事、運動の単独療法では減量やその長期維持は困難。

 ④治療開始後3ヵ月の初期的減量がその後を決める。

 ここまでで、納得する人は多いと思います。

 ⑤3kg程度の減量でも、合併症の予防、改善に効果がある。

 ⑥長期的な維持には持続的な介入が必要。

 ⑦介入中にライフスタイルが変容することが重要。

 ⑧行動療法(※)が必要。

 ⑨行動療法を併用しても1年以上の維持は困難なことが多い

 ・・・などなどです。

 

 ※ 行動療法:心理療法のひとつで、学習理論(行動理論)を基礎とする数多くの行動変容技法の総称



3. 現実の問題点

  知識は豊富で、肥満がよくないことはわかっているけれど減量もうまくいかないし、まして持続なんて・・・という人が多く見られます。重要なことは


 ①知識を増やすこともよいが、実際の行動をどうするか。

 ②カロリー過多、運動不足に原因があるため、食事と運動をあわせた生活習慣の見直しが必要だということに気付くこと。

 ③計画を立てる際に、実行可能な、無理のない、長く続けられそうな目標を意識する。

 またその際に、どうやれば長く続けられるかも考える。

 たとえば、いきなり10kg以上の減量は無理ですが「毎月0.5 kgずつ」ならしばらくできそうで、半年、1年と続けることで効果も

 出そうです。

 そして④相談できる人や仲間がいることです。



4. まとめ


 以上、肥満症の治療から生活習慣改善の問題点を見てみました。難しそうだけれど、実際にできている人はたくさんいます。何が違うのでしょうか。意志の強さ?・・・それだけではないでしょう。

 健診で今の状態を確認して、目標設定や定期的なチェックを手伝ってもらい(保健指導)、できることを地道に行う、これが一番の近道だと思います。



 (参考文献)日本消化器病学会編:肥満と消化器疾患4.肥満の治療 2)行動療法と薬物療法190-206、2010

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